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社会福祉士たにこが行く

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【第171回】座ると一言でいっても…(2009年9月12日)

「座るってどういうこと?」というテーマの研修を覗きました(途中退席したのが残念)。福祉用具に関わる人たちの研修です。まず「座る」とはどういうことなのかを、さまざまな「座る」の映像を観ながら考えるところからスタート。「座る」と一言で言っても、実際の姿勢は場面によってさまざまであることが良くわかりました。

トイレで「座る」は、かなり前かがみ。
授業を聞いている時の「座る」は、背筋が伸びて前を向いている。
授業を聞いていない生徒の「座る」は、だらーん。
食事の時の「座る」は、やや前のめり。
リラックスしたい時は、背もたれに体重を預けて足は投げ出してるか組んでいる。
読書の時、パソコンに向かっている時…などなどさまざまな場面で「座って」いるけれど、実は、その姿勢は一つではない。

トイレでの「座る」姿勢で、食事は食べられない。リラックスした「座る」姿勢で、トイレはできない。背筋をを伸ばした「よい姿勢」での「座る」は、長時間はつらい。

なのに。

介護の現場では、ただ「座りましょう」と促している。

その人が、今、何のために座るのか(トイレなのか、休憩なのか、食事なのか…)によって、座る姿勢も、角度も、おしり(骨盤)の位置も違ってくる。だから「座る」ことの介助や用具選定は、そこまで考えないといけないわけです。当たり前のことなのに、「あっそうか。座るっていろんな座るがあるんだ」と今さらながら気がつきました。

福祉用具専門相談員やヘルパーさんたち、そして車イスなどのメーカーさんが、当たり前にそのような視点を持っていてほしいなと思いました(自分のことを棚にあげるのもなんですけれど)。

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