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【第137回】ヘルパーのマナー講座(2009年5月9日)

以前あるヘルパー事業所さんから「ヘルパーのマナー講座」の講師の依頼をいただきました。そのご縁から、今回「事業所連絡会」の定例会で同じテーマでお話する機会をいただくことになりました。その打ち合わせに行きました。

介護保険ではなく、障害の自立支援制度のヘルパー事業所の連絡会です。ですのでヘルパーさん達が接しているのは高齢者だけではなく、子どもも若者もいます。初めてこのテーマの依頼を受けた時、今さらマナー?と思いつつ、でも現場でビックリするようなマナー違反(ヘルパーとしてというより社会人として)を見ることもあり、「こんなことから?」と怒られるかもしれないと思うような基本事項からお話をしました。あいさつとか言葉遣いとかそんなレベルです。単なるマニュアル的なマナー講座ではなく、なぜそれがマナー違反なのかという視点での講座にしました。そんな基本的なマナーをふまえた上で、じゃあヘルパーとしての姿勢は…ということを考える構成にしました。

受講後の感想では「初心を忘れていた」「馴れ合いになっていたことに気付いた」などがあり、まずまずの評価かなと思っていました。同じテーマで再度ご依頼いただけるのは本当にありがたいことです。今回は、これまでのような1つの事業所内での講義ではなく、連絡会に所属している事業所(の現場の責任者)さん達が対象です。打ち合わせは連絡会の役員さんたちと行ないました。以前ご依頼いただいた事業所の代表の方が連絡会の役員さんでもあるというご縁です。この方は頚椎損傷で首から下が動きません(彼との連絡は主にメールを使います。電話もOK)。事業所側の立場でもあるし、ヘルパーを利用している当事者でもあります。

打ち合わせの中で「ヘルパーはついつい恩着せがましい言動になってしまっている」(だから今回の講座でそういう姿勢にも気付くきっかけとしたい)という意見がでました。それに対して彼は「ヘルパーさんにはもちろん感謝はしている。でもあまり恩着せがましくされると、それが(あなたの)仕事やん(なのになんで恩着せがましくされなあかんの)と思う」と言いました。

「それが仕事やん」というアッサリした一言に私たちの大事なスタンスが表現されていると感じました。私たちのやっていることは「仕事」であってそれ以上でも以下でもない。そこに信頼関係はあっても、馴れ合いとか親切の押し付けはないはず。その絶妙なあんばいの「信頼関係」が築けるかどうかがプロとしての腕の見せどころかなと感じます。「日常生活」や「家」というかなり接近した場面で仕事をする私たちは、その絶妙なあんばいのさじ加減がわからなくなってしまうのです。

今回ご依頼いただいた講義の2時間が、「マナー」という切り口で、そんな自分のさじ加減を見つめなおすきっかけになればと感じた打ち合わせでした。

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