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【第132回】歩けるから手間がかからない?(2009年4月17日)

医療・福祉・保健分野の専門職が集まる会議がありました。その中で「身体は元気な認知症」の方の話題になりました。その方は「要介護3」なのですが、私は状況を聞けば聞くほど「要介護4」もしくは「要介護5」くらいが妥当なような気がしました。いろんなもの(食べ物ではないもの)を食べる、集める、さわる、間違える、忘れる、わからない、などなどで片時も目を離せない状況が目に浮かびます。そのことを私が発言すると、別の出席者が「でも、歩けるんだから。寝たきりで床ずれができて体位交換が必要な方に比べれば介護の手間はかからない」と言うのです。

私は「とんでもない!」と言いました。もちろんどちらも大変なのですが、でも全くの寝たきりの方は他人に影響を及ぼしません。「身体は元気な認知症」の方は、歩けるだけに、他人との摩擦やいろんな関係や出来事が生じます。それはそれは大変なのです。

「歩けるから介護の手間はかからない」と発言した人は薬剤師。「私は現場を知りませんが…」とおっしゃってましたがそのとおりだと思いました。もちろん薬剤師さんは薬剤師さんの専門的な知識や視点があります。お互いの専門性を生かしつつ、私は現場を知っている専門職だからこその発言をしっかりしていこうと思います。

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