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【第107回】5年目にして(2009年2月7日)

ケアプランを担当してから5年が経とうとするAさん。
ずっとベッドの上でお過ごしで、外出は月に2回の通院だけ。
今は手すりを利用して歩くことができるのですが、家族も私も「このままだと歩く力が低下してしまうのでは」と心配しています。家族は常に一緒にいるので、少し離れてホッと一息つく機会もありません。
ヘルパーとの外出や訪問リハビリも検討したり利用も試みたのですが、本人の気分が乗らず継続に至りませんでした。
本人さんは外出するならその日の気分で出かけたいのであって、曜日や時間が決められているのは性に合わないのです。

「別に何もしたくない」と言いながら日々が過ぎ、私としてはもどかしさを感じつつも福祉用具のレンタルや住宅改修だけのご利用で5年が経ちました。
先日Aさんを訪問した時のこと。「暖かくなったら公園に桜を見に行けるように…って言いながら実現しないまま、今年は何回目の春ですかねぇ」なんてお話をしていると、ふいに「デイサービスに行きたい」というような意味のことをおっしゃった(ような気がした)のです。まさかAさんの口からそんな言葉がでるなんて思いも寄らなかったので(だからどうおっしゃったのか正確には記憶できていない。残念。)、にわかには信じられず、「朝、車がお迎えに来て、一日過ごして夕方帰ってくるアレ?向こうでお昼ごはん食べたりレクリエーションしたり?それに行かれます?(ホントにホント?)」と妙な確認をしてしまった私。聞き違いじゃなくてどうやら本当みたい。

というわけで、早速デイサービスと調整をしました。タイミングの良いことに、つい先日Bデイサービスセンターの方とお話しをする機会があり「今、空きあり」と聞いたばかり。そこは、ほんわか我が家風で自由な雰囲気。Aさんに合いそうです。トントン拍子にコトが進み、早速一日体験に行かれ、そして気に入ってくださり、毎週ご利用になることになったのです。

それにしても、予想外の展開に驚いています。
いつもなら「今日はデイサービスのお話をしてみよう」とかいろいろと私なりに考えて進めるのですが、その日の訪問は、全くそのようなことは具体的には考えていなかったし、Aさんがデイサービスなんて今までなら考えられなくて、なぜそうなったのか自分でも狐につままれた気分。
なにはともあれ5年目にしてようやく外出のきっかけができました。
ご家族も喜んでおられます。静かな喜びに包まれている私です。

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