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【第96回】「親孝行してきたんだろうか…」(2009年1月19日)

受離れて住む子どもさんが、ご両親の今後のことで相談にお見えになりました。
状況を考えると施設利用も選択肢の一つです。
お話を伺いはじめて1時間経過した頃でしょうか、その方は「自分が面倒を見れないことを心苦しくも思うし、でもプロに任せたほうが良いようにも思うし、現実問題として一緒に住むことは無理だし…」と割り切れない胸のうちを話されました。
そして「今まで自分は親孝行をしてきたんだろうか…」とおっしゃいました。

ご両親の人生の、おそらく終の住みかになるであろうことも含めて子どもの立場で検討していることが、果たして自分のエゴではないのか、親孝行ってなんだろう、そもそも自分は今まで親孝行をしてきたんだろうか…といった複雑なお気持ちがその一言に表れていると思いました。
「家族だけで介護する」というのは、「医者にいかずに病気を治そうとする」とか「弁理士に依頼せずに特許の申請をする」ような危なさがあるのだと思っています。
ただ、割り切れないんですよね、気持ちが。
同居すること=双方の幸せ…ではない。
では同居=不幸なのかと言われればそうとも言い切れない。
何がベストなのかはわからないけれど、100%納得はできないのかも知れないけれど、ご両親も子どもさんも安心して暮らせる方法を一緒に考えていきたいと思っています。
離れて住んでおられるのでご両親にお会いになるのは年に2回くらい。
ということは100歳まで生きられるとしても会えるのはあと20回くらい。
過去を後悔せずに、これからの可能な限りの「親孝行」で良しとしましょう。
「親孝行」か…。改めて言われると、私もどうなんでしょうね…。

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