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【第82回】「家族支援=介護者支援」ではない(2008年12月8日)

社会福祉士会の研修に参加しました(参加というかスタッフだったので、受付や会場準備もしてきました)。テーマは「家族福祉」。
講師は、大学で教鞭をとっておられる方ですが、元々は民間企業におつとめだったそうです。
重度の重複障害をもつお子さんが誕生したことをきっかけに、家族の立場で福祉の世界に関わってこられたとあって、お話は理論的でありながら「専門家」と「家族の生の声」の架け橋のようでした。

まず印象に残ったのは「家族の支援=介護者支援ではない」という点です。
私たちは(特に高齢者の介護の分野では)、家族=介護者ととらえ、介護者である家族の支援という視点で関わりがちです。
もちろんそれも大事ですが、それだけではないのです。
例えば、「障害児のきょうだい」であるとか、「介護にかかりっきりの娘の子ども(要介護者の孫)」とか、介護者ではないけれどなんらかの影響が及んでいる家族のサポートが必要だのだと、いまさらながら気付きました。

「家族」って何だろう…というのも大きなテーマとして考えながら話を聞きました(もちろん「家族」を定義しての話の展開ではありましたが)。
話を聞いていると「家族関係を維持していくことを前提にした支援」にように感じました。
もちろん親子関係は解消することはできませんが、夫婦関係や義理父母関係は、離婚という手段で家族関係を解消することができます。
「家族関係を維持していくことを前提にした支援」が本当にその人に適切な支援なのか…「家族関係の解消」というのも選択肢の一つとしてある場合、福祉の専門職としてはそのことをどう受け止めるのか…といった疑問もわいてきました(なので、これは最後の質疑応答でお尋ねしました)。

実際に、ご家族から「離婚届をもらってきました」と言われたこともありますし、「介護」というのは単に作業量の問題ではなく、性別役割とか夫婦関係とか生き方とかいろんな要素が含まれていることを改めて感じました。
「家族の支援」と一口にいっても、高齢者介護の場面での家族(それも夫婦なのか親子なのか義理の関係なのか)、障害児の家族、成人した障害者の家族などいろんな個々の場面があります。
「援助者の家族への見方(家族観)が、家族への関わり方に大きく影響してくる」との講師の指摘に、改めて自分の価値観と向き合った2時間でした。

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