「社会福祉士たにこが行く」第51回〜

【第65回】30年越しの読破!そして差別問題を考える (2008年10月19日)

私が小学校5年生だった時のことです。
その頃に私は読書のおもしろさに目覚めたのですが、どうしても欲しい本があって親に買ってもらいました。
それは『大草原の小さな家』(ローラ・インガルス・ワイルダー作
恩地三保子訳 福音館書店 1972年初版発行)です。

とても重厚感のある素敵な本だったのですが、400ページ近くに及ぶその大作を、私は読みとおすことができなかったのです。
そして年月は流れ、私は結婚。この本も一緒に持っていきました。
そしてさらに10年の月日がたちました。娘が小5です。「娘と一緒に読もう!」と思いました。
寝る前にいまだに読み聞かせ(といいつつ私が楽しんでいるのですが)をしているので、その時間を利用しました。ただ、こんな分厚い本は読み聞かせに使ったことはありません。
ゴールは遠かったのですが、毎日毎日読んで、ようやく読み終えることができたのです。
私にとっては30年越しの読破です!スッキリしました。

当時は単なる「自然の中で暮らす家族の話」と思っていましたが、これがなんと奥深いテーマの物語だったのでした。
「インディアン」と呼ばれる「アメリカ先住民」と「白人」の、差別や「侵略」がベースにある物語だったのです。
清水和久さんとおっしゃる方が書かれている解説を読んでいろいろ考えさせられました。
解説には「…インディアンの文化、暮らし方は、日本人が考える文明とは随分ちがう。
けれども大切なのはそれもひとつの文明なのだということを認めることだ。
インディアンを人間として認めることだ。
生意気な響きさえもつこんなあたりまえのことをいわなければならないのが、日本の、これまでの、いまの状態なのだ。大地にどっかりと腰をすえ、土地とともに生きるという暮らし、
自然とともに生きる暮らしを送ってきたインディアンの方が、土地を金もうけの手段としてつかってきた自分たちよりも、実はもっと高い文明の持ち主ではないのか…(以下省略)」」と書かれていました。

30年前の文章とは思えません。
30年前といえばステレオタイプの「インディアン」のイメージがあり、私も踊りなどを真似て遊んでいたものです。それに疑問を持つこともありませんでしたし、とがめる大人もいませんでした。
その時代に上記のような文章を書いた方がおられたのだいうことに私は深い感慨を覚えました。
今ならわかります。
今なら上記のようなことはいわば当たり前ですし、そのとおりと受け止められることでしょう。
でも全くそのような世論が形成されていない時代にこのような主張をされていることに、私は打ちのめされた思いなのです。そしてその主張は30年たった今なお、アイヌ民族の問題をはじめ私たちの課題なのです。

「肌色」というのはおかしいんじゃないか?「痴呆」という言葉は差別的なのじゃないか?
…今ならそのとおりと私も思います。でもそう言われるまでは何の疑問も持たなかった私。
もしかしたら今あたりまえのように感じていること、あたりまえのように使っている言葉、常識…などの中にも、まだまだ差別的な意識が残っていることがあるのかもしれません。
誰に言われなくてもその痛みに気付く繊細さやそれを世間に対して主張できる強さ。
私はそれらを持っていないのだと改めて恥じ入っています。
少しでもその繊細さと強さを意識し、次世代につなげていきたいと感じました。

【第66回】レポートを受け取る時に感じること(2008年10月20日)については、こちらへ。

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