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【第5回】ケアマネジャーについて(選び方より関わり方が大切)

今回は、介護保険サービスを利用するにあたり、深く関わりを持つことになるケアマネジャーについて触れておきます。

よく見かけるのは「ケアマネジャーの選び方」というタイトルで、医療系や福祉系出身のケアマネジャーがいて利用者の状態別に選ぶように書かれています。確かに医療系出身者であれば、医療依存度の高い利用者について情報交換がしやすいなどの利点はありますが、今後も長くお付き合いをしていく人物としてとらえるならもっと大切な視点があります。

それは、「利用者やご家族について理解を深め、ケアプランへの工夫を惜しまない」という利用者本位の姿勢があるケアマネジャーであるかどうかです。ただし実際は、ケアマネジャーを選んだり比較したりすることは難しく、事業所が提案するケアマネジャーが担当になる場合がほとんどです。そこでお互いの信頼関係を築くためのいくつかの秘訣をお伝えします。

基本的にケアマネジャーは、多くのケースや業務を抱えているため、特別なことがなければ月1回の訪問を基本として情報収集、ケアプランの作成を繰り返していきます。そのため下記のポイントを意識しながら関わってください。

(1) 「何か変わったことはありませんか?」との問いには、できるだけ困っていることや受けているサービスの感想などを伝える。
「お世話になっているので言いづらい」という気持ちが先行しがちですが、ここでの遠慮は禁物です。ケアマネジャーにとっては、些細な情報でも重要です。なぜなら、知らず知らずにご家族(介護者)の心理的負担がピークに達している場合があります。このSOSが明らかになった段階でサービスを増やしても、ご家族(介護者)のなかに生じてしまった在宅介護への拒否反応を取り除くことは容易ではありません。

本来なら「家族が遠慮せずに言える信頼関係作り」はケアマネジャーの責務ですが、一方的に期待するのではなく、ご家族側からの働きかけとの兼ね合いが現実的かと思います。

(2) ケアマネジャーといえどもご家族の心の底を読み取る事は至難の業。
ご家族から「すべておまかせします」と言われても、ケアマネジャーも困惑する場合もあります。「言わなくてもちゃんとやってくれるだろう」という思いは捨てて、「何をやってもらいたい」「どうなってもらいたい」という意志表示を行ってください。

(3) 「この問題は相談しても解決しないだろう」と一方的に判断しない。
希望通りの回答でなくても「どんな点を不安に思っている」という情報は、ケアマネジャーにとって次回のケアプランを考える上での貴重な情報になります。

(4) 他から入ってきた介護保険に関する情報がすべて正しいとは限らない。
時に根拠のない情報をきっかけにケアマネジャー不信に陥る方もいらっしゃいますが、まずは事実確認を行ってください。

(5) 「車椅子だけ借りたい」というように、一方的な依頼はNG。
ケアマネジャーは全体を把握し、ご家族が気付いていないリスクや今後予測される展開などもお伝えしていきます。有効な情報を引き出すためにも、ケアマネジャーの話に耳を傾けてください。

(6) 現在のケアプランが適切かどうかの判断は、ご家族(介護者)の感覚で、プラン通りのサービスにより「なんとか在宅介護をやっていけそう」と感じることができるかどうか。
「少ししんどくなってきた」と感じたそのときが、ケアプランの見直し時期であるため、ケアマネジャーへご相談ください。

もちろん、なかにはどのようにアプローチしてもご家族やご本人の気持ちや状況をくみ取ってもらえないケアマネジャーも存在します。そのような場合は、ケアマネジャーが所属する事業所の責任者に相談してみましょう。

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