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【第2回】家族が入院した場合のポイント(「現実を見て」編)

「家族の入院」という事実を前にすると、病状に対する心配と不安であっという間に数日が過ぎていきます。状態によっては、付き添ったり頻回に通ったりと、今までにない生活パターンを余儀なくされ、周囲の方の生活リズムも一変するでしょう。

そんななか、ほとんどのご家族は「ある程度もとの元気な状態に戻ってから退院になるだろう」と甘い期待を持ってしまいます。しかし現実はそうではなく、ご家族の認識と実際の回復状態との間には大きなズレが生じます。そのため、ご家族の退院に向けての準備が遅れ、受け入れ態勢を整える間もなく「とりあえず在宅介護を始めざるを得ない」という状況が起こりえます。そのような事態を未然に防ぐためにも、ご家族の考えを変え、再認識していただきたい部分があります。

それは、若い方の入院と違い、障害が残るような疾患や高齢である場合、退院時点で「入院前と同じ状態には戻れない」という現実です。

例えば、94歳の高齢者が肺炎で入院された場合、今までなんとか可能であった立位ができなくなる可能性が非常に高くなってきます(ご家族はイメージしにくいでしょうが)。それは、肺炎の治療を行っている間に、足の筋力が低下し、わずかに残されていた脚力が失われていくからです。脚力を取り戻すまで入院はできないため、肺炎の治療が終わった段階で退院になってしまいます。その後の生活は、訪問介護、デイサービスやリハビリなどの在宅サービスを組み合わせることで再出発することになりますが、ご家族の「良くなるに違いない」という思いが、次に取り組まなければならない在宅サービスの手配や導入を遅らせてしまう結果になります。

国の方針により入院期間の短縮化がはかられ、ますます退院に向けての準備期間が短くなっていきます。退院を言い渡された段階で「こんな状態で帰らなければならないの?」と驚き慌てることがないよう、ご家族の入院・退院に対する再認識が必要です。

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