親ケア奮闘記Part3【迷走編】

【迷走編・第17回】退院した父。

○○先生のおかげだ。

散々と大騒ぎをした割には、父のポリープ摘出の内視鏡手術はあっさりと終わりました。
1~2時間ほどの手術を終えて出てきた医師は、「かなり大きいポリープがありましたが、おそらく癌ではないでしょう」と説明してくれ、やれやれと言ったところです。

病室に戻った後、「ほら、心配しなくて良いって言ったろ」と父に声をかけると、「○○先生のおかげだ。本当に名医だ」と喜んでいます。
癌でなかったこと自体は別に医師の手柄ではないのにと思ったものの、あえて否定する理由もないので適当に話を合わしました。

手術の翌日には退院。
父を実家に連れて帰り、溜まっていた洗濯物を片付けたり、掃除をしたり、数日分の食べ物を買いに行ったりと慌ただしく過ごし、夜のうちに大阪に戻りました。

実家に戻ってすぐ、父に母宛で電話をかけさせたのですが、開口一番に「母さん、ワシ、癌じゃなかったがね~」と言ってしまい、なんで入院したのを黙っていたのかと怒る母をなだめるのに、苦労したのが印象的です。

後日、生研の結果を聞くために父を連れて手術を受けた病院に行くと、結果はめでたく「シロ」。
医師から「念のため、1年に1回は内視鏡検査をしに来てください」と言われた父は、「もちろんです。先生は命の恩人です」と、うれし涙を流しながら何回も頷いていました。

タオル、どういう使い方してる?

無事に退院して実家に戻った父は、それまで以上に家事などをやらなくなりました。
帰省した際、中身があふれかえっているゴミ箱や、食べカスがこびりついた食器が積まれた台所、食べ散らかされたお菓子などを見かねて、少しは片付けるように言ったのですが、それを素直に聞く父ではありません。
「はぁ、すいません」「ワシは病み上がりだもんで……」などと言って、そのまま知らんぷりをしてしまいます。

「○○をしてよ」「はぁ、すいません」といった不毛な会話を何回も重ねたあるとき、私が本気で声を荒げるような出来事がありました。

タオルを出そうと私が洗面所に行ったときのことです。
実家の洗面所は、脱衣所を兼ねた作りになっていて、隣が浴室になっています。
洗面台の上には扉付きの棚があり、そこに洗って乾燥させたタオルをまとめて入れていたのですが、手を伸ばして1本のタオルを取った私は、妙な湿り気を感じました。

「あれ? この前に帰省したとき、ちゃんと乾かしたはずなんだけど……」と思い、タオルを見るとうっすらとカビが生えています。
ニオイを嗅いでも、やはりカビ。

不思議に思ってほかのタオルを引っ張り出しても、同様に湿っており、黒っぽいカビが生えています。
次々とタオルを出して確認したところ、20本以上のタオルにカビが生えていました。

「父さん、ちょっとこっちに来て!」
大声で呼ぶ私の声に応えて、父が洗面所に顔を出しました。
「孝ちゃん、何? 今、ゲームしてるのに……」
「タオル、どういう使い方してる?」
「タオル? 顔や身体を拭くのに決まっとるがね」
「いやそうだろうけど、これはどういうこと?」

カビの生えたタオルを顔の前に突き出された父は、「変なニオイがするがや」と顔をしかめました。

「もしかして、濡れたタオルをそのまま棚に戻してない?」
「はぁ……」
「それにしても、なんでこんなにたくさん……」
「この間タオルを取ろうとしたら全部落ちてきたもんで、まとめて身体を拭いたがね」
「えっ?」
「で、タオルが無くなると困るから、そのまま戻しておいたがね」
「……お前というヤツは!」

その後、「誰が洗濯してると思ってるんだ!」「どこまでバカなんだ!」と大声で父を叱りとばしたものの、父は形だけの謝罪を繰り返すのみで、何を怒られているのかよく理解できていない様子。
結局はいつものように、私が呆れて黙ることによって、その場は収まりました。

【迷走編・第18回】高齢福祉課との出会い。については、こちらへ。

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