認知症の人への誤解が解ける!待望の第2弾!
マンガでわかる 認知症の人が見ている世界2
川畑智 (著), 遠藤英俊 (監修), 浅田アーサー (イラスト)
内容
コロナ禍により認知症患者を取り巻く環境も大きく変わり、認知症患者の行動や考え方もコロナ禍に大きく影響されることとなった。好評だった前作に続き、認知症の人が見ている世界を認知症患者の立場に立って考えていく。それが認知症患者に対するケアやコミュニケーションに良い影響を与えることとなるだろう。
書評
2019年から始まった世界的な新型コロナウイルス感染症の大流行。以来、我々の生活は大きな変化を余儀なくされることとなった。外出の自粛やマスク着用、手指消毒やパーテーションの設置、ソーシャルディスタンスや検温、在宅ワークなど、さまざまなシーンで「新しい生活様式」に出会うこととなった。
感染者は生死をさまよう事態になった人も少なくなかったのは記憶に新しいが、特に良くない影響が顕著だったのが認知症の人とその家族だったという。高齢者はコロナによる重症化や死亡リスクが高く、より厳しい感染対策が求められ、訪問介護やデイサービス、認知症カフェの中止が相次ぎ、社会との接点が途絶えて介護家庭に孤立を招いてしまったとされている。コロナ禍をきっかけにうつ症状に陥った人も多く、認知機能やADL(日常生活動作)の低下を招いた人も多かった。
このように、これまで以上に家庭の介護負担が高まり、ストレスが増え、結果的に虐待やネグレクトの増加が懸念された。実際に虐待は増加し、自死や介護殺人にまで発展した例も報告されているという。
本書では、前作同様にコロナ禍の経験を踏まえ、認知症の人々が見ている世界を考えていく。コロナ禍特有の困った行動や言動の理由や対策も紹介されている。こうした情報を知っておくことで、認知症の人が考えることを推測しやすくなる。困った言動や行動の理由と最善の対策がわかれば、認知症の人への誤解が減り、コミュニケーションや対応の質そのものの向上が期待される。本書が認知症の人への誤解を解くきっかけになることを筆者は願っている。