残された家族の膨大な手続をていねいに解説
ぶっちゃけ相続 手続大全
橘 慶太 (著)
内容
大切な人を亡くしたあと、残された家族には膨大な量の手続きが待っている。年金の受給停止、保険証の返納、準確定申告などなど…。これらの手続きには期限があり、なかには亡くなった日から7日以内にしなければならないものもある。本書では安心して手続きが進められるよう、書類や税務面も含め注意点や手続きの流れを解説している。
書評
国税庁による2019年7月から2020年6月における「相続制の調査状況」では、税務調査を受けた家庭の85.3%が修正となり、1件あたりの平均追徴課税はなんと641万円だったという。税務署は、申告書を一切提出しなかった無申告者への税務調査を積極的に行っている。税務署は「不慣れだったから計算を間違えました」という人にも容赦はしない。ミスはミスとして追徴課税が適用される。法律知識は知っているか知らないかで大きな差がつくのだ。
本書の有効な使い方としては、本書の全体を読み流し、相続手続きの全体像や、自身に関係する項目を把握する。そして次に着手する前に、該当するページをしっかりと読めば、スムーズに手続きが進められるだろう。全ページを順に読む必要はなく、自身に必要なページを読むだけですぐに使えるのが本書の良いところだ。
相続準備をする人にも本書は有効だ。相続発生直後、家族が一番困るのは「訃報の連絡を誰にするか」と「葬儀はどのような形で行うか」の2点。本書巻末には、その2点に加え、財産の棚卸しができるエンディングノートがある。エンディングノートと一体になった本書を家族に残しておけば、相続手続きで家族が慌てることもなく、スムーズにことが進むだろう。
相続手続きに慣れている人などいない。葬儀も相続も始めての人がほとんどなのが実際だ。筆者は、本書が相続手続きに悩む人の懐中電灯の役割になればと願っている。まずは焦らず、全体像を確認して相続に臨みたい。