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介護の本書評「review-kaigo」

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第416回 なぜ、認知症の人は家に帰りたがるのか

生活支援は脳を理解するところから始まる

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

なぜ、認知症の人は家に帰りたがるのか
恩蔵 絢子 (著), 永島 徹 (著)

内容

認知症を持つ人の想いや行動を脳科学から考察し、34の『なぜ?』に答え、適切なアシストポイントを示すなど、現場で積み重ねられた経験と科学の知見が響き合って生まれた一冊。統計的な事実や脳の仕組みを知れば、一人ひとりに寄り添う気持ちが深まる。認知症患者本人の望みがわかる一冊と言える。

書評

認知症にはいろいろな人が関わってさまざまな観点から取り組んでいく必要がある。脳科学者である筆者は、認知症となった母の介護を始めたことで、病院の検査では捉えられないような、生活の中で起きる一つひとつの具体的な困りごとについて、誰でも持っている脳のこんな仕組みから起きるのだと説明することが必要だと感じたという。

筆者は、母が認知症になるまでは、「もの忘れ」や「徘徊」、「妄想」などと聞くと、ネガティブなイメージしか持てなかったそうだが、実際その症状に生活の中で具体的に出会い、脳科学的にそれを分析していくと、まったく恐れる必要がないことだと、筆者自身が気づいていくことになったという。今まで認知症患者の症状として上げられていたものは、脳から見ると、意外と健康な人でも怒っていることだったり、その人の今までの習慣と照らし合わせて分析すると、何ら不思議ではないことだったりするという。

母をはじめとするすべての認知症患者の人々の自由をどうすれば確保できるか考え続けているという。筆者は、本書がすべての人を決めつけない生き方をする手助けになればと願っている。

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