老いには勇気が必要。
老いる意味-うつ、勇気、夢
森村 誠一 (著)
内容
推理小説、時代小説、ノンフィクション小説などで活躍した作家・森村誠一が、自身と向き合い、自身の人生における経験のひとつ、老人性うつの克服や老いそのものに対して感じたこと、その生きざまを自らの筆で記している。
書評
人生50年時代から人生80年時代となり、今は人生100年時代。ひと昔前のサラリーマンなら、定年退職を迎えたら人生のゴールのような感覚を得て、そこから先は余生になるような感覚だった。しかし今は、そんな枠組みは当てはまらなくなっている。
今は80歳となってようやく「シニア世代」となっていくような感覚である。その時点で立っているのは「終着駅」ではなく、「第二の始発駅」だと森村誠一は言う。そこまでに蓄えてきた経験や知識、交友関係やケリ財力、あるいは病歴や孤独までもが、良くも悪くもいろいろな物を抱えて新たな旅に出かけるのが、80歳なのだと。ただ、「第二の始発駅」は必ずしも順風満帆ではない。病気をしたり、親しい人の訃報を聞いたり、明るい幸せだけが広がる道程ではない。
森村誠一自身、90歳を過ぎてエネルギーが尽きたとは思っていないそうだ。今なお濃密な時間を過ごしている感覚があり、人生の旅に本当の意味のピリオドが打たれるまで、その気持ち、感覚は変わらないという。
本書では90歳を過ぎてなお、創作活動に取り組み、夢を追い続けるエネルギッシュな人生を歩み続ける森村誠一の「老人性うつとの闘い」、「死生観」、「明日に向かってみる夢」などについて、森村誠一自身が筆を執って記している。