40年ぶりの相続税大改正に対応!
ぶっちゃけ相続
橘 慶太 (著)
内容
一般的に、たいていの人は相続は自分自身の親で最低2回、嫁や夫の家族側も含めると最大4回経験することになる。2019年には相続税が40年ぶりに大改正された。本書ではそんな改正内容の解説に加え、相続の際に注意すべき点なども紹介されている。
書評
相続争いは金持ちだけの話ではない。実は一般の家庭が一番危ないという。
ごく普通の家庭で相続争いが起こる背景には、一人ひとりの権利意識の変化がある。家督相続から均分相続への変化だ。平等という理念は一人ひとりの権利意識を大きく増大させ、骨肉の争いを増やしてしまったのだ。
揉める家庭は「財産がたくさんある家」ではなく、「バランスが取れるだけの金銭がない家」なのだという。つまり、現在の法律ではどのような家庭でも相続争いが発生する可能性があるのだ。また、相続税に関する税務調査も相続にまつわるトラブルのひとつとなっている。安易な相続税対策が税務調査を誘発してしまうのだ。そこから相続税の追徴課税を課され、悲しい思いをしてしまう。
確かに家庭の事情は十人十色だろう。しかし、相続にまつわるトラブルには明確なパターンが存在する、と筆者。パターンが存在するということは、それを未然に防ぐ処方箋も存在するということになる。本書では、実際にあったトラブル事例を数多く掲載し、どのようなメカニズムでトラブルに発展していったのか、そしてそのトラブルをどのように解消したのかが紹介されている。
相続税に関して書かれた本はたくさんある。本書は、「教科書的なものではなく、相続の現場で起きている真実をぶっちゃけた本にしたい」という筆者の思いが色濃く反映されている。だからこそ本書を読むことが、相続に関する知識を網羅的に学べるとともに、円満相続への準備が着実に整うことにつながる一冊に仕上がっている。