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介護の本書評「review-kaigo」

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第403回 老いた親へのイラッとする気持ちがすーっと消える本

困った行動も理由がわかれば優しくなれる

親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本

老いた親へのイラッとする気持ちがすーっと消える本
榎本 睦郎 (著)

内容

何度も同じ話をする、ささいなことで怒り出す…「昔はあんな人じゃなかった」と、高齢の親のことを言う人がいたりするが、本当に年を取ると人が変わるのだろうか。本書では、10万人以上の高齢者を診てきた高齢者医療の名医が「老いた親とのうまい付き合い方」を教える一冊。

書評

日本は、超高齢化社会に突入し、2035年には3人に1人が65歳以上の高齢者になるとされている。老いた親の姿は、自身の将来の姿であり、自身に老い方を教えてくれているのだと考えることもできる。自分自身が親と同じ世代になったとき、周囲から嫌われないためにどんな老人になれば良いのか、その姿から見えてくるものがあるはずだ。

確かに高齢者の困った行動は存在する。しかしその困った行動には理由があるのだ。老化現象で身体も脳も衰えていくのは間違いないが、コミュニケーションを諦めないことが大切。老化の仕組みを知れば、親の気持ちがわかり、優しくつきあうコツが掴めるようになる。するとお互いイライラが消え、素直になれると筆者は語る。

本書は老いた親との付き合い方に戸惑いやストレスを感じている子ども世代向けに書かれている。子ども世代の人も、後2、30年もすると高齢者の仲間入りをすることになる。親の付き添いで病院に来ていた人が、自分自身が子どもに連れられてその病院に来ることになるときが、ほぼいずれ間違いなくやってくる。そして本書が、子ども世代が親の姿を見ながら、自身の老後対策を考えるうえでの参考書となることを筆者は願っている。

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