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介護の本書評「review-kaigo」

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第298回 親の介護をしないとダメですか?

親孝行のために自宅介護はしない!

親の介護をしないとダメですか?

親の介護をしないとダメですか?
吉田 潮

内容

自分の親を見て「だいぶ老け込んだ、でもまだ大丈夫かな」と思ったり、「親が介護状態になったらどうしよう」と不安に思っている人にぜひ読んでいただきたい、と筆者が語る、介護と生活を両立させるための考え方を紹介。

書評

介護について書かれている本は3種類ある、と筆者。

まずは介護施設側から発信されるお涙頂戴エピソード満載の美談本。もうひとつは自宅介護の苦労と疲弊、そして頑張りを綴った本。そしてもうひとつが介護現場や老老介護の実態を緻密な取材をもとに書き記した渾身ルポ本。本書は、そのどれにも当てはまらないという。

筆者は父の介護を行ったが、実際にはほとんど介護らしいことはしていないという。24時間体制で取り組んだこともない。母の介護の様子を見た瞬間に老人ホーム入居を速効で決めた。自宅介護は一ミリもオススメしないと言い切る。だからといって、老人ホームの素晴らしさを謳うわけでもない。

怒りや悲しみではなく「諦観のすすめ」の要素が強いという。親の廊下と向き合って、合理的に対処し、かつ自分自身の生活をしっかりと維持する、それに尽きるという。

本書では、どうやって人は老化していき、主語を失っていくのか、家族がその状態からできることはないのか、老人ホームに入居したらどうなるのか、など。筆者は40歳代、50歳代の人は、親の介護よりも自分自身の介護のことを心配した方が良い、とすら書いている。真剣に介護のことについて考える人は、手に取ってみてはいかがだろう。

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