介護で大切なのは「頼り方」と「任せ方」。
内容
「育ててもらった恩がある」、「自分が育ててもらった時のように、母のオムツを替えてあげたい」といった気持ちは非常に美しい。だが、それを5年、10年続けるのは難しい。本書は介護10万人時代を乗り切る、「任せ方」と「頼り方」のヒントが記されている。
書評
介護を考える時、大切なことは自分の身に起きたこととして「介護」を具体的にイメージすることだ。そして具体的に自分ごととして冷静に考えれば、どんなに厳しい時も必ず選択肢は存在するということに気づかねばならない。
介護で困ったことがあれば、自分で抱え込んで悩む必要はない。常に包括支援センターに電話をして相談すればいい。「自分で面倒を見るしかない」といった思い込みを絶対にしないことが重要なのだ。思い込みは選択肢の範囲を狭め、大切な選択肢の存在を見落としてしまうのだ。人に頼ったり、任せたりすることで、自分自身を楽にすることは決して悪いことではないのだ。
そして最も筆者が言いたいのは、決して会社を辞めないで欲しいということ。介護離職は親の介護と仕事を天秤に掛けた結果、生じるものだ。しかしながら、介護離職は家族の誰も幸せにはしない。自分の仕事と親孝行としての介護を決して天秤に掛けてはいけない、と筆者は語る。もし、この2つを天びんに掛けたら、間違いなく親の介護を取るに決まっている。そもそもこのふたつは天秤に掛ける必要はまったくなく、両方とも取ることができるものだ、と筆者。本書では、その「介護と仕事の両方をとるための方法」が記されている。