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介護の本書評「review-kaigo」

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第289回 介護離職しない、させない

親子共倒れや人材消失を防ぐ知恵が満載!

介護離職しない、させない

介護離職しない、させない
和氣 美枝

内容

介護者の不幸は「選択肢が見えなくなること」だという。目の前の事象でパニックになり、人生の選択肢が見えなくなってしまう。だが、選択肢は確実に存在する。本書では、そんな選択肢を見つけ、選択した結果、仕事と介護を両立している「働く介護者」の声を集めている。

書評

「家族や大事な人の介護が始まったら、仕事を辞めるしかない」という、介護のために、それまで勤めていた会社を辞める「介護離職」が止まらない。社会の中で大きなうねりとなって、将来に立ち塞がろうとしている。

介護離職の中心層は40歳台から60歳台で、一度仕事を辞めてしまうと再就職が容易ではないのはすぐに想像がつく世代だ。経済的にはもちろん精神的にも肉体的にも追い詰められ、虐待や自殺、殺人など不幸な出来事に至るケースも少なくない。一般的に年収が高い層の人が介護離職をするので、アベノミクスでは「介護離職ゼロ」を掲げたのだ。

本書がめざすのは、ただただ「介護しながら働くことが当たり前の社会」にすること。それには仕事と介護の両立は「できる」のではなく「やる」ことなのだ、という。だが現実は、筆者を含め多くの人が「両立している」というよりも「ギリギリ辞めないで働いている」という状態であることは否めないという。

本書では、「介護離職しない、させない」知恵と情報、スキルと工夫を、実際に両立させている介護者や介護者を支援している企業の具体的な事例を交えながら紹介されている。介護離職を避けたい人、避けさせたい企業は必読の一冊と言える。

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