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介護の本書評「review-kaigo」

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第286回 ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由

仕事と介護を両立させる人生の設計図がここに!

ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由

ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由
酒井 穣

内容

「介護離職してもなんとかなる」、「介護離職をすれば負担は減る」、「こどもが親の介護をするのがベスト」という誤解をしていませんか?本当にやるべき介護の方法や考え方を本書が的確にアドバイスしてくれます。

書評

人間の幸福は、依存先が複数あることと密接に関係している。

「介護とは自立支援である」といわれることがある。自立とは依存先を増やすことだと理解すれば、「介護とは自立支援である」という言葉の意味がスッと入ってくるのではないだろうか。実際に、優れた介護においては、要介護者はこの人がいないと死んでしまうという状態、すなわち特定の人への過度な依存を上手に避けているという。だからこそ、要介護者であっても、何かに隷属することなく、自らの幸福を自分の意思で追求する自由が残されるのだ。

もしかしたら親が介護状態になった時、「介護のすべてを自分がやってあげたい」と思うかもしれない。しかしそれは、親からすれば、あなたがいないと生きていけないというただひとりの人間への隷属に繋がるのだ。親子関係が逆転した先にあるのは、広い意味での虐待となる。これが親の幸福追求の邪魔になるのは間違いないのだ。

本書では介護離職に繋がる誤解を解き、介護離職を避けるための具体的な方法が記されている。そして最期に介護を自分の人生の一部として肯定する考え方が記されている。善人ほど悲惨な介護に突入しがち、と筆者。介護を巡る虐待や殺人は、自立の定義を誤解した善人が起こしているという。両親が存命中の一人っ子や、介護離職も選択肢のひとつ、と考えているような人にぜひ読んでいただきたい一冊。

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