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介護の本書評「review-kaigo」

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第282回 ある日、突然始まる 後悔しないための介護ハンドブック

手元において役立つ一冊!

ある日、突然始まる 後悔しないための介護ハンドブック
阿久津 美栄子

内容

介護のためには、介護保険の仕組みや、困った行動への対処法、必要なお金、家族との役割分担など、さまざまな情報や知識が必要になります。本書では、介護開始から終了までが簡潔にまとめられている。

書評

介護のことが話題になると、「よく知らないが大変そうだと聞いている」や「まだ先のことなので、今はまだ心配していない」という話を聞いたり、ご自身で言ったことはないだろうか。その内容は誤りだといえる。

筆者自身、介護とは他人の家庭のことで自分には関係ないことだと思っていたという。なんなら、親は永遠に生きるんじゃないかと半ば本気で考えていたそうだ。そこまで考える人は珍しいとは言え、介護の存在を「自分には縁遠い物」と考えている人は非常に多い。

しかも介護は、する方もされる方も、基本的には「初心者」だ。初心者同士が一緒になって大変な時間を過ごすのだ。その大変さは計り知れない。だからこそ、情報と知識が大きな支えになる。インターネットの普及により、情報収集はたやすいと思うかもしれないが、断片的な情報も少なくない。介護のスタートからゴールまでの一連を理解できる情報は探してみると非常に少ないのがわかるだろう。

本書は、「介護の始まりから終わりまで」の一連をできるだけ完結にまとめた一冊となっている。情報量が少ないと思うかもしれないが、不足すると思う人はさらに別の本などで自分で調べてほしい、と筆者は希望している。だが、本書の情報は筆者自身が介護に取り組む中でほしかった内容がまとめられている。

介護はある日突然、誰にでも起こる「日常」なのだ。特別なことだとあまり身構えずに、しかし大変なことだと自覚を持って、残された親と子の時間をできるだけ幸福に過ごす上では、本書が役立つだろう。

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