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介護の本書評「review-kaigo」

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第281回 認知症になった家族との暮らし方

日々の生活で起こる「どうしよう?」を解決するヒントが満載!

認知症になった家族との暮らしかた
ナツメ社/認知症の人と家族の会 (監修)

内容

もし身近に認知症患者がいる場合、「家族が認知症になったどうすればいいの?」というシンプルな問いに答えられなくなることは少なくない。本書では、「同じことを何度も聞いてきてイライラしてしまう」や「お風呂にないってくれなくて困っている」といった、さまざまなシーンごとに接し方のヒントが掲載されている。

書評

日本全国に認知症の人は約550万人。65歳以上の高齢者の15%を超えているといいます。これが2025年、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる頃には、700万人になると予測されている。高齢者5人に1人は認知症という時代はもう御すぐ目の前に存在するのだ。

しかし、大半の人が自分に介護が降りかかるとは思っていない。介護は突然に発生し、最初は「こんなはずじゃない」と現実逃避したくなる。そして少し時間が経つと「いったいこれからどうなるのか?」と不安が増大し、本人や家族がパニック状態に陥る。そうなる前に、介護のノウハウや知識を身につけておくことは非常に大切だという。

認知症介護はマラソンレースのような物だ、と筆者。いったんスタートすれば途中棄権は許されず、ゴールすら見通すことはできない。しかもゴールに辿り着くまでの道のりは百人百様、経験して満たないとわからない。

介護保険を利用してプロの手を借りてもすべてが解決するとは限らないのだ。プロにしかできないこと、プロにでもできること、家族にしかできないことがあるという。だが、ひとりで抱えてしまっては悲劇が起きる可能性もある。大切なのはひとりで悩まないことだという。

本書は、出口が見えない介護の道を歩く人々へ、道しるべと先を照らす明かりになることをめざして一冊だ。道しるべと明かりさえあれば、生きる術も、希望さえも手に入れることができるという。本書はそんな一冊になるだろう。

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