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介護の本書評「review-kaigo」

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第280回 認知症の取扱説明書

認知症は脳以外に原因があることも!

認知症の取扱説明書 (SB新書)

認知症の取扱説明書 (SB新書)
平松 類

内容

徘徊やお漏らし、交通事故など認知症が原因の副次的な事故や出来事は多々発生する。それらを「認知症は治らないから」と諦めてしまってはいないだろうか。実はそうじゃない場合も少なくないのだ。本書は、脳だけではなく、五感や手足の老化も含めて検証することで新たな原因と解決策を数多く提案している。

書評

認知症と診断された高齢者の場合、徘徊、お漏らし、交通事故、暴力を振るう、被害妄想などの行動を行うと、意思であってもほぼ間違いなく「認知症のせいである」と診断するかもしれない。だが、筆者はそうした事態に「その問題行動、本当に認知症が原因ですか?」と警鐘を鳴らす。認知症以外にも原因があるし、認知症だったとしても諦めてしまってはいけない。症状を改善したり、進行を遅らせることができるケースも多い、というのだ。

「認知症以外にも原因がある」というのは、問題行動の原因は「認知症」、「身体の老化」、「その両方の作用」かは、すぐにはわからないという。しかも、認知症を改善することはできないが、身体の老化を予防・改善すれば、問題行動が大きく改善することもあるというのだ。さらには、進行を遅らせることができる認知症もあるという。

本書では、認知症に加えて老化も含めた原因を総ざらいすることで、問題行動の原因を明らかにしようとしています。なぜなら原因がわかると言うことは非常に重要で、予防改善できる原因なら対策を施せるし、対策がなくても原因がわかることで冷静になれるという。

本書は3つのタイプの人向けに書かれている。1)認知症が原因となり得る問題行動を起こす家族を抱えている人向け、2)認知症が原因となる問題行動を起こしたくない人向け、3)認知症が原因となり得る問題行動を起こす人に関わるビジネスをしている人向け、の3つだ。この3つのいずれかに当てはまるなら、一読すれば新たな視点からの学びとなるのではないだろうか。

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