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介護の本書評「review-kaigo」

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第268回 認知症の親と成年後見人

親が元気なうちにやっておくべきことが一目瞭然!

認知症の親と「成年後見人」
永峰 英太郎

内容

父の成年後見人として4年経過した筆者。だが、成年後見人になるかどうかは、もっと慎重に決めるべきだったといいます。さらには「成年後見人になるべきではなかった」という後悔の念があるという。その理由や制度について紹介されている。

書評

筆者は、ステージ4の食道癌の母と認知症が進んだ父という両親同時介護状態となる。そうなった初期の段階で父の認知症が一気に進むものの、両親の財産は一切下ろせない状況となった。両親のメインバンクである父の銀行のキャッシュカードの暗証番号を誰も把握しておらず、お金があっても引き出せない状況に陥ったのだ。

本人もしくは委任状がないと、親族であっても銀行はお金を下ろすことを許してはくれない。キャッシュカードの暗証番号は絶対に教えてくれない。そこで筆者がとった行動が『成年後見人になること』だった。本院が認知症では、相続も介護施設の契約もできないのだ。そうした『できなかったこと』ができるようになるには『成年後見人制度』しかないと感じたのだ。

だが、成年後見人になってお金の心配を一切しなくても良くなったはずなのに、その成年後見人になったことでお金に対する不安や不満が増大したというのだ。その理由が本書には細かく記されている。法律によって厳密に定められているために一切の融通が利かない成年後見人制度。まさに、『本当に親族のために作られた法律なのか?』と疑うぐらい使いづらい制度だというのが読んでいて手に取るように感じられた。

だが、成年後見人制度が必要な場合もある。本書では、『本当に成年後見人制度が必要なとき』という章があり、そこに本当に成年後見人制度を申請するべき事態が書かれている。
偉材という時に最適な選択ができるよう学びたい人、成年後見人制度の活用を検討している人は読んでおくべき一冊と言える。

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