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介護の本書評「review-kaigo」

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第261回 絶望老人

長すぎる孤独な老後は生き地獄だった。

絶望老人
新郷 由起

内容

近年、高齢者の貧困がクローズアップされるようになり、老後の経済的な生活不安を煽る報道が続いている。これにより「老後の幸せはカネ次第」という認識がひとり歩きしつつある。本書では、貧困や無縁、独居など、老後のリアルを35人にヒアリングしている。

書評

幸せな老後と聞くと、終の棲家で家族と暮らし、資金に困ることもなく、家族や孫に囲まれて賑やかに日々を過ごす……そんな姿ではないだろうか。そんなステレオタイプ的老後は、今の高齢者たちが希求する本当の幸せなのだろうか。

確かに近年は高齢者の貧困がクローズアップされて、経済的余裕がないと、老後を幸せに過ごすことは出来ないというイメージが定着しつつあるかもしれない。だが、本当に経済的余裕があれば老後は安泰なのか。頼れる血縁者がいない高齢者は皆、哀れで、悲惨な末路を迎えることになるのか。独居老人は皆孤独で不幸なのか。

現在、老後を過ごす中で三大重要課題が「金」、「無縁」、「独居」だという。本書では、この3つのキーワードを体現しながら暮らす高齢者たちの生の声を拾い上げ、「理想の老い」と「人生における本当の幸せ」とは何かを探る。同時に、高齢者を取り巻く諸問題の背景や問題点についても筆者独自の視点で考察している。

日本では65歳以上を高齢者と呼ぶことになっている。だが、男女ともに平均寿命は80歳を超え、最長40年以上の老年期を過ごさなければならない時代に突入している。本書では、遠すぎて先が見えないほど伸びきった老年期を幸福に導いてくれるもの、絶望に追いやるものとは一体何なのか。その分岐点と、老いて生きる上で真に必要なものについて、答えを導き出そうとしている。

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