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介護の本書評「review-kaigo」

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第260回 親の介護で自滅しない選択

介護悲劇に陥らないよう「発想」を変えよう!

親の介護で自滅しない選択
太田 差惠子

内容

お金、介護と仕事の両立、心の保ち方……介護には、さまざまな困難が伴う。突然、介護するという状況に陥った際、タイトル通り自滅してしまう人が少なくない。本書では「倒れる前」と「倒れた後」に分けて、実用情報と考え方を見開き2ページでやさしく解説している。

書評

「親の介護が始まったら、自分たちは一体どうなるのだろう」と漫然とした不安を抱えている人は少なくない。介護現場を20年以上取材してきた筆者が介護の実際を見る限り、本当に大変なときは「今」しか見えなくなるという。そして、その今が永遠に続くと思い込んでしまうのだそう。結果、介護うつになったり、胃に穴が開いてしまうほどストレスを貯め込んだり、血圧が急上昇して入院してしまう人なども出てきます。

親の介護をきっかけにきょうだいの仲が決裂した人、介護離婚をした人、仕事を辞めた人、そんな人がたくさんいます。こうした悲劇が起こるのはなぜだろうか。社会が悪い?親が悪い?自分が悪い?そう思いたいのは理解できるが、誰かを悪者にしても何も解決しないのが介護の現実だ。固定概念を解き放ち、自分に優しくなることから始めなければならないと筆者は語る。

介護に正解はない。なぜなら一人ひとり生きている背景も、性格も、健康状態も、価値観も、経済状態も違うのだから。

大切なことは「自分さえ頑張ればなんとななる」と思わないこと。さらに「それは本当に必要か」と自問自答してから一歩を踏み出すこと。そうるだけで自滅しないで済むのだ。
決して介護に振り回されてはならない、と筆者。介護生活という言葉があるが、我々は介護するために生きているのではない。親は大切だが、子は親のために生きているわけではないのだ。介護はあくまで生活の一場面にしか過ぎない。一場面のことで人生すべてを破滅させてしまわないよう、本書をしっかりと読み進めておきたい。

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