介護の本書評「review-kaigo」 第201回〜

第259回「死ねない老人」

「早く死にたい」と口にする「老後悲劇」は近くにある!

死ねない老人

死ねない老人

杉浦 敏之
幻冬舎


内容


「早く死にたい」と思わず口にするほど、本人の意思に反して「生かされている」高齢者も少なくなく、老後資金の多少は関係ないという。老後悲劇は決して他人事ではないのだ。死にたくても死ねない高齢者の悲惨な実態を現場の医師が語り尽くす。

書評

世界最高水準の長寿大国・日本。わずか70年間の間に30~40年も寿命が延びているという。100歳以上の高齢者も6万人以上。こちらも直近50年で300倍も増えているという。織田信長の時代の「人生50年」をはるかに超え、世界最速で「人生90年、100年」の時代に突入しているのだ。

しかし一方で、自身の長寿を喜べない高齢者が増えているのも現実だという。家族や周囲に「死にたい」と漏らす高齢者が目立っているというのだ。「下流老人」と呼ばれる経済的不安を抱える人や介護が必要な日と、社会的に孤立している人なども少なくない。だが現実には、経済的にも家庭環境的にも恵まれていても「死にたい」という衝動に駆られる高齢者が少なくない。長い時間があるのに目的を持てないことに辛さを感じているのだろう。だが、死にたい衝動を常に聞かされる家族は大きな心理的負担を強いられることになる。

また、社会に目を向ければ「本人の意思に反して生かされている」高齢者も少なくない。ひとたび病院に運ばれれば、そのまま延命治療が施されて逃れられないというケースも少なくないのだ。本院が望む医療や最期のあり方を選べず、ただ高度な医療技術のおかげで生かされているだけだとすれば、それは幸せな長寿とはかけ離れたものだと言える。

本書では、医師でもある筆者が診てきた患者の現実を紹介し、その背景にある問題や解決策を提示する。高齢者が人生の集大成とも言える時期に充実した時間を過ごすには何をするべきか。さらには、高齢者本人の意思が尊重される医療や最期を迎えるために、家族や社会で取り組むべき対策についても解説されている。

第260回「親の介護で自滅しない選択」については、こちらへ。

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