認知症の症状は、ある程度類型化できる!
内容
認知症の数々の症状にはある程度の法則があって、類型化できるという。その特性をまとめたのが本書となる。本書では、徘徊、入浴、排泄という三大介護はもちろん、せん妄などのテーマごとに症状やその時の気持ちや状態、そして対応策を探すことができる。
書評
認知症は、もはや他人事ではなく、私たち自身や家族の誰かの身に降りかかることがほぼ間違いない病気となっている。また、認知症高齢者のひとり暮らしをはじめ、若年期認知症患者の増加、認知症の人が認知症の人を介護するという「認認介護」が社会的にクローズアップされるなど、問題は多岐に渡りつつある。
だが、認知症に関する研究も進み、診断や治療の体制は充実しつつある。治療薬も順調に追加承認されているが、残念ながら完治できる薬はまだ存在しない。
認知症になるとさまざまな生活の混乱が起こると考えられる。認知症の中核症状でもある記憶力や判断力、学習能力などの衰退はもちろん、周囲の人との関係によっては幻覚や暴力、夜間不眠といったいわゆる「周辺症状」も起こりえる。だが周辺症状は、対応次第で軽減したりなくすことができる、と筆者。なぜなら認知症の症状がある法則に沿って説明できるから。
それが筆者がまとめた『認知症をよく理解するための9大法則・1原則』だ。認知症の人の言動は決して異常ではなく、同じ状況になれば誰もが行う言動にすぎないと知るのだ。そうなると周囲の人々の気持ちは変化し、認知症患者も必ず穏やかになるだろう。
本書では、認知症の主な50の症状に関して、なぜその症状が発生するのかを「9大法則・1原則」に当てはめながら紹介。適切で有効な対応ができるようになっている。