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介護の本書評「review-kaigo」

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第253回 続・下流老人

死ぬまで働くしかない時代が到来する!?

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続・下流老人 一億総疲弊社会の到来 (朝日新書)
藤田孝典

内容

あなたが80歳になった時、働くことができるだろうか。だが、働くか働かないかの選択ができず、「働くしかない」時代が到来しようとしているのだ。日本は間もなく世界一老後が過酷な国になろうとしているのだ。

書評

いったい、人間は何歳まで働き続けることができるのだろうか。確かに高齢期になっても働き続ける人は増えている。だが、「死ぬまで働いていたい」と口にするのは、たいてい若い人か、肉体労働ではない仕事に就いている高齢者だ。しかし、すでに日本は未曾有の少子高齢社会に突入している。高齢者中心の社会の到来が間近なのだ。

昔、高齢者は豊かだった。穏やかでゆとりのある時間を謳歌していた。しかし、今後は今のように自由気ままな生活を送れる人は、ごく一部の人だけに限られるだろう。「一億総活躍社会」の実現を政府が宣言したが、この言葉通りに高齢者は社会を支える重要な労働力として、さらには自身が「下流化」しないようにするために、現役時代とさほど変わらない労働に勤しむ必要が出てくるだろう。これからの時代は『余生』という言葉は死語になるだろう。

本書では「高齢期の労働と貧困」をテーマとし、下流老人の現状と解決策をさまざまな角度から検証している。「なぜ自助努力では貧困問題を解消できないのか」についても、客観的データを交えながら解説されている。生活困窮者が批判され、貧困が無きものとされるのは、全員が貧困を「異常に恐れている」ことの裏返しだ、と筆者。勇気を持って直視し、一歩を踏み出さなければ解決策を見つけることも、その恐怖から逃れることもできないとできないという。本書は「これから日本社会を襲う不安の正体」を暴き出している。

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