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介護の本書評「review-kaigo」

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第250回 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと

いざという時に、少しの余裕と知識を持っておくために

B019ONDIHU

親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと
太田差惠子

内容

親の入院や介護が必要になる「その時」は、いつか必ずやってくる。だが、事前に心構えや情報収集ができている人は少ない。その日は突然やってくる。事前に情報や知識を備えていれば、少しの余裕が生まれ、その余裕が身体を壊したり、仕事を辞めたりすることを防げるかもしれない。

書評

家族の入院や介護を経験した人の多くが、「情報収集」と「自分から動くこと」の重要性を実感している。介護の基本は何と言っても「自己申告」だ。関係機関にこちらから申請しないと、何も見てくれませんし聞いてくれない。つまり、事態は何も進展しないということだ。だが、身体が弱ったご本人が行動するのは現実的には難しい面がある。そうなると子どもの出番となる。

親の介護といえば、入浴や排泄、食事などの身体介助を思い浮かべるが、実は「情報収集」こそが非常に大切で、親を支えるための重要な柱となる。本書では、「短期的戦略」「中期的戦略」「長期的戦略」にわけ、親の介護や入院で必要となる「情報」を時系列的に整理してくれている。

読者は、一人っ子で親が元気なうちに介護のことを考えておきたい、親が突然入院した時は何をすれば良いのか、在宅介護はもう限界にきているので施設に入所させたいなど、さまざまな状況に置かれているだろう。本書は、今の状況あったところから読み進めていけば良い。そして時間的にゆとりが出たら全体を読み進めれば良い。

筆者は20年以上に渡り、高齢者の生活や介護現場を取材している。多くの子どもたちの声を聞いてきた。切羽詰まると皆が大慌てするが、事前に情報を得ている場合は、ほんの少しだけ余裕が生まれるという。そのほんの少しの余裕と知識があるかどうかが、その後の生活を大きく変えるという。親の入院や介護に直面した子たちが、本書を少しでも役立ててくれることを筆者は願っている。

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