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介護の本書評「review-kaigo」

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第242回 鈴木さんちの成年後見物語

親をひとりにしておけなくなったら読もう!

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鈴木さんちの成年後見物語
成年後見実践グループ

内容

「成年後見制度」という言葉、介護に興味がある人なら一度は聞いたことがある名称だろう。だが、その中身をきちんと知る人は少ない。本書は、ストーリー仕立てで成年後見制度の利用法や活用法、実際に活用している時に遭遇するであろう出来事などについてわかりやすくまとめられている。

書評

高齢化社会の進展に伴って、いわゆる「独居高齢者」の問題が深刻化している。子どもが都会に移住してしまい、地方で親が一人だけで住んでいるようなケースも増加している。もちろん一人で住むことに問題があるわけではない。健康であれば、まったく問題ないのだ。だが、やがては加齢により心身ともに衰えてくることは間違いない。さらに認知症を発症したり、判断力が衰えたりすることもあるだろう。

そうなると困るのが日常生活だ。特に日々の支払や銀行での預金の出し入れなどもできなくなってしまい、社会生活を送る上で多種多様な弊害がでてくることになるだろう。さらには、詐欺まがいの業者に騙されてしまい、必要のない高額な商品を多数買わされるといった被害に遭わないとも限らない。こうした事態を避けるために認知症高齢者に代わって判断し、意思表示をする代理人が必要になってきた。それが「成年後見人」だ。

本書は、成年後見制度をわかりやすく紹介することに主眼が置かれている。一郎一家を舞台に、田舎でひとり暮らしをする母が認知症になってしまったことをきっかけに、家族で協力しあいながら「成年後見制度」を活用し、母の介護に奮闘する様子が物語として紹介されている。まさに母が認知症になり、家族全員が慌てながら専門家に相談し、何とか家庭裁判所に成年後見の申し立てを行うところから物語は始まる。

会話調でわかりやすく、書式も掲載されているので、本番で書類を見ても慌てずにすむだろう。しかも物語が面白い。これ一冊で成年後見制度については、ほとんどのケースに対応できるのではないだろうか。

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