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介護の本書評「review-kaigo」

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第241回 家族よ、ボケと闘うな!

認知症医療は誤診と誤処方だらけ!?

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家族よ、ボケと闘うな! 誤診・誤処方だらけの認知症医療
長尾 和宏 近藤 誠

内容

もの忘れが激しくなったらとりあえずアリセプトを処方、厚生労働省の指導でとりあえずアリセプト増量、怒りっぽくなったら抗精神病薬を処方、そして再検査して施設入所……。そんな認知症を悪化させるような医療がまかり通っている。本書では、認知症の進行が止め、介護を「快互」に変えるケアの考え方を紹介する。

書評

現在の認知症治療はかなり間違っている、と語る筆者は認知症専門医ではない。しかし、だからこそ当たり前のように出される薬に問題があることを叫べるのだ。また、認知症の人の介護に対しても大いなる疑問があるという。施設職員の関わり方で、認知症患者さんの状態は大きく変わるのだが、多くが薬の処方量ばかりに目がいき、患者本人の人生の楽しみへの配慮は不十分なことが多いという。

認知症患者は世界的に見ても、年々増加している。世界中の先進国が同じ状況だが、日本だけが間違った医療や介護が、実態以上に認知症を増加させているように感じるという。医療が原因の病気や介護が原因の病気が、かなり多いと思えるそうだ。例えば、薬を止めるだけで別人のように回復したケースが少なからずあるという。

「大認知症時代」が間もなく到来する日本。医療も介護も大転換の時代に突入している。家族や本人が、今こそ賢くなって認知症への価値観を変え、備えるべきだという。なぜなら価値観を変えれば、無駄な戦いなど全く不要になるからだ。

本書では、筆者が家族の関わり方で認知症患者の人生は大きく変わるとなんとも説いている。認知症とは本人の問題だけではなく、家族の問題だと……。家族が無用な闘いをしてしまっていると。家族が負けてあげれば、ほとんどが解決するという。

本書は今までにない認知症の解決法が提示されている。そして今までにないような認知症の問題定義がされている。人生の最終章を幸せな笑顔とともに過ごしたいなら、一読してみてはいかがだろうか。

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