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介護の本書評「review-kaigo」

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第239回 働きながら、親をみる

介護は情報戦。早めの知識と対策が必要。

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働きながら、親をみる 自分の人生をあきらめない介護
和田 秀樹

内容

もし明日、親が倒れたら?仕事はどうする?遠距離だったら?誰に何を頼めば良い?親の介護は突然に予期せぬ形でやってくるケースが非常に多い。いつかやってくる「その時」に備えて、情報を集め、介護する側とされる側の幸せをめざす必要がある。本書はそのための一冊。

書評

親の介護は,いつかやってくるものだと思っても、対先送りしてしまう問題のひとつだ。両親も年を取ったな、と思いながらも、いざという時に備えるための具体的な準備は何もせず、別れてしまう……そんな人が多いのではないだろうか。不安を直視したくない、先延ばしにしたい、そう思うのが人情。しかし「その時」はいつか必ずやってくるのだ。

高齢者が認知症や要介護状態になるのは,人として当たり前のことだ。85歳以上の4割以上が認知症を患い、それを含めた約半分の人々が何らかの形で要介護状態になるとされている。80歳を過ぎるまで何でも自分でできていて、とても元気だったのに、1年後には何らかの手助けがないと生きていけなくなる……そういうことが普通なのだ。そこに「うちの親だけは大丈夫」という甘い考えは通用しない。

そんな時、介護する側は働いている人が多いだろう。仕事と介護の両立は即座に問題となる。働き盛りであれば、家族とのことであっても簡単に仕事を休めはしない。ましてや実家から話して遠方に暮らしてればなおさらだ。

しかし2000年から介護保険が始まり、ある程度の情報を持っていれば、認知症や要介護状態になることは避けられなくても、介護のために仕事を辞めなければならないという事態は避けられるケースがほとんどだ。介護のため維持分の仕事を辞めるのは得策ではない。介護を必要とする親が亡くなったあとも、介護する人の人生は続くのだから。

本書は、要介護状態や認知症になっても、仕事を辞めなくても済むような情報がわかりやすく列挙されている。転ばぬ先の杖となるとともに、少し不安が解消し、未来が明るく感じるような気持ちになる。

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