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介護の本書評「review-kaigo」

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第232回 介護のミ・カ・タ

経験から学んだ「介護十箇条」

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【文庫】 介護のミ・カ・タ。 経験から学んだ「介護十箇条」 (文芸社文庫)
荒木由美子

内容

アイドルとして人気絶頂期に結婚した荒木由美子さん。待っていたのは、幸せな結婚生活や子育てに加えて、20年におよぶ義母の介護の日々だった。その壮絶な日々と苦悩の毎日、今だから書ける家族への気持ちなどが綴られている。

書評

第一回ホリプロスカウトキャラバンにおいて、審査員特別賞を受賞したあと、アイドルとしてデビューし、お茶の間の人気者となった荒木由美子さん。司会やドラマなど数多くのレギュラー番組を持ち、順風満帆の芸能生活を送っていた1983年、タレントの湯原昌幸さんと結婚。芸能界を引退した。

結婚直後から20年間に渡り、子育てと義母の介護に明け暮れていたという。認知症の母が日ごとに普通じゃなくなっていくのを感じていた日々。人は認知症という病気によって変わってしまうこと。頭では分かっていても、それを理解して受け入れるまでは、相当の時間が掛かったという。

実の子である夫が、どんなに自分をかばい、支えてくれても涙する日がたくさんあったという。「一人で抱え込まずに、相談できる人を作っておいた方が良い」と周囲の人に言いながら、自分はそれができなかったという。今日できる介護をすれば、きっといつかは終わると思っていたそうだ。そんな荒木さんが、自らの経験をもとに課していた「覚悟の介護」十箇条も紹介されている。その中でも9番目の『「ありがとう」「ごめんなさい」を言葉にする』や、どんなことにも感謝するという10番目の『うれしさ、ありがたさ』は今すぐ実行することができ、効果がすぐに出るように感じた。

介護を終えてみて、無駄なことは一つもなかったと語る荒木さん。一日一日を積み重ねながら投げ出さずにやり終えたことで本当に良かったという。やり終えた者だからこそという『言葉の重み』があった。

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