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介護の本書評「review-kaigo」

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第231回 こころを病んで精神科病院に入院していました

精神科病院も案外楽しい!?

こころを病んで精神科病院に入院していました。
安藤 たかゆき

内容

統合失調症で精神科病棟に入院した作者が、そこでの日常を記したコミックエッセイ。普通の病院との違いや食事、一日のスケジュールなど、実際に入院した筆者だからこそ描けるリアルな入院生活を余すところなく描いている。

書評

つや統合失調症など、心の病気と診断される人が激増している現代社会。だが、そうした人たちが治療する場である精神科病院を知る人はほとんどいない。だが、イメージは一人歩きしているといっても良い。「鉄格子がある」、「暴れたりしている人がいて騒々しい」、「患者が暴れたときに備えてマッチョな男性看護師がいる」など、そのイメージはやけにリアルなものから、思わず失笑しそうになるものまで様々だ。

本書は、統合失調症と診断されて3カ月間入院したときの様子を漫画に記している。入院前の作者は、吃音でいじめられた経験を持つ。それを隠すためにワザと刺激的な振る舞いを行ったりしているうちに、それが過剰になって刺激に依存するようになり、本気の自傷行為で救急車で運ばれ、そのまま精神科病院に入院することになったそうだ。

本書に記されている精神科病院は、いたって平和だ。むしろ平和すぎて刺激がないというのが正しいかもしれない。暴力や大きな騒音とは無縁の静かな時間が流れているようだ。反抗したり、暴れたときに入る保護室や診察の様子、看護師さんの対応やいつも笑顔で接してくれていたこと、お風呂が一番の楽しみなことなど、入院中の様子が事細かく描かれている。
うつ病と統合失調症患者の違いや、普通の病院との違いなど、普段は見られない世界も垣間見える本書。未知の世界を見るような感じで最後まで読み終えることができた。

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