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介護の本書評「review-kaigo」

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第228回 老妻だって介護はつらいよ

妻が介護するのは当たり前ですか?

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老妻だって介護はつらいよ――葛藤と純情の物語
沖藤 典子

内容

家突然夫が緊急入院。驚き、疲れ、心が乱れる。しかも足を切断する大手術を受けることに。介護問題を追いかけてきた筆者に看護と介護の日々が訪れる。500日の入院生活を経て在宅介護となった夫。毎日何を感じ、どのような壁に直面し、何に励まされたのか。夫婦間の複雑な感情にも触れながら「老老介護」の現実を描き出す。

書評

2014年の国民生活基礎調査によると、夫婦ともに65歳以上の高齢世帯はふえつづけ、約600万世帯に上るという。介護者も65歳以上のいわゆる「老老介護」が増加し続けており、妻による介護が7割だという。今後もこの傾向は続くと予測される。

筆者のような「おひとり老妻介護」をする人たちは、発言しない、発言する体力も気力もない、方法も知らないことが多い。日々黙々と介護をする無告の民なのだ。世の中では、老妻の介護は当たり前とされ、あげくに夫の病気は妻の性とされることもある。そんな老妻ハラスメントにも耐えなければならないのだ。筆者は「どれほどの老妻が、過去の感情や毎日の疲労、世間の口や目に忍耐を重ねながら、愛の二輪草とばかりに夫の介護をしていることだろう」と語る。

老妻は、自分お身体を守るだけでも大変なのに、自分を苦しめた夫を守らなくてはならないという不条理を抱える。「老妻だって介護はつらい」のだ。中高年になったら飲酒や喫煙はセーブする自己管理が大切で、特に糖尿病は人生を破壊する病気だ、と筆者。健康への無知と過信がどんな結果を招くかも、本書で警告したいという。

本書を読めば、「老老介護」の本当の大変さと健康の大切さが身に染みてわかる。

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