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介護の本書評「review-kaigo」

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第227回 欧米に寝たきり老人はいない

終末期医療、あなたの選択は?

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欧米に寝たきり老人はいない - 自分で決める人生最後の医療
宮本顕二 /宮本礼子

内容

家族が終末期医療で迷う場合、「自分がして欲しいことを選ぶ」というのは良い考えです。私たちはつい「もっとしてあげなくては」と無理強いしてしまいがち。病人の思いより、自分自身の想いを優先させてしまいがちなのだ。しかし、旅立つのは病人。良い旅立ちをさせてあげるために、家族が知っておくべき終末医療の理想と現実。

書評

高齢になったら誰もがぶつかるのが終末期医療の問題。医療が発達したばかりに、自分で人生の終わり方を考えなくてはならなくなった。現代医療では安らかに死んでいくのはなかなか難しい、と筆者。痰吸引や管から栄養を入れられ、何年も生き続ける。人生の最期がそんななんて誰が臨んだのだろうか。事実、高齢者医療の現場で働く者は、誰一人として自分にそのような最期を望んでいないという。

せっかく平和な時代なのだから、最期も良い物にしたい。「終わりよければすべて良し」という言葉があるように、終わりは重要。満足して人生を終えるためには、終末期医療のあり方を考える必要があるのだ。もちろん延命治療で何年も生き続けさせるのは、医療側にも問題はある。だが、最も大切なのは一人ひとりがどのように生きてどのように死にたいのか、しっかりと考えなければこの問題は解決しない。

本書は、筆者が12回にわたって新聞系サイトにて執筆したブログ記事を加筆修正したものとなっている。こうしている今も延命処置を受けてベッド上で苦しんでいる患者がいる。明日には延命措置が始まる患者がいる。命の問題だからこそ、誰もが真剣に、責任を持って、できるだけ迅速に解決しなければならない問題だと言える。満足のいく最期を迎えるために、高齢者の終末期医療のあり方について考える上で、とても良い一冊になるだろう。

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