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介護の本書評「review-kaigo」

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第223回 下流老人

年収400万円でも、将来は生活保護レベルの暮らし?

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下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書)
藤田孝典

内容

間もなく、日本の高齢者の9割が「下流化」するという。本書でいう下流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」である。そして今、日本に「下流老人」が大量に生まれているという。その存在が日本全体に与える飲Pクトは計り知れないものがあるという。本書ではその真実の姿について明らかにする。

書評

下流老人とは文字通り「下流」の生活を強いられている高齢者を意味する。日本の高齢者の格差と貧困は極めて深刻だという。現役時代、平均400万円前後の収入を得ていた人も、高齢者になると相当な下流リスクが発生するという。

本書では、第1章で下流老人とは何か、懸念される問題は何かについてさまざまな統計データを用いて解説されている。第2章では、下流老人の日常生活がどんなものか、実際の超えに耳を傾けながら明かにしていく。第3章では、下流老人に至ってしまう代表的なパターンが示されている。転落防止や解決策を考える参考としたい。第4章では、私たちの意識や感情に焦点を当て、すべての原因は人間の中にあることを再認識する。第5章では、下流老人を生み出す社会システムや社会福祉制度の機能不全を明らかにする。そして第6章では、私たちが個人レベルでできることや考えておくこと、備えておくことを提示。第7章では、筆者による制度や制作に対する個人的な提言となっている。

本書では現在推定で600~700万人いるであろう下流老人の現状と,その社会的な背景、未来予想図が示されている。もちろん貧困に対する自己防衛策なども提示されている。こうした部分は目を背けることなく、自分の老後やこれからの生活における対策として活用し、下流に陥る前にできることは何か、と想像しながら、現実から決して目をそらすことなく読む必要があるだろう。

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