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介護の本書評「review-kaigo」

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第204回 親の家を片付ける

土地相続問題の悩み、すべて解決!

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親の家を片づける―ある日突然、膨大な老親の荷物や家の整理と処分が、あなたの身に降りかかってきたら、どうしますか? (ゆうゆう特別編集)
主婦の友社

内容

親の亡き後、部屋の片付けだけでは終わらない。最後の難関が親の家そのものの片付けだ。「最も揉めやすいのは親戚間の売買」「法律よりもギリが優先される難題」、マイホーム借り上げ制度の説明や効率良く実家の処分をする方法など、実例とともに親の家をうまく処分する方法が紹介されている。

書評

一人暮らしをしている親のことが気になる人は多いだろう。本書は親の死去に伴って空き家となるなどにより、親の家を処分した12の実例が紹介されている。これらの事例の中で、親が生前に土地や建物の処分を考えていた実例は少ない。多くは空家問題に直面して初めて動き出した人ばかりだ。この事実が語るのは、相続問題同様に空家問題もまた事態に直面して初めて動き出すこと、というのが現実だ。誰も住まない家なら解体すれば良いだけなのだが、一軒の家の解体には相当な費用が掛かる。かといって放置すれば防犯上、防災上問題となる。だが、不動産屋任せでは売却は捗らないし、空家を貸し出す際の公的団体の支援を知らない人も少なくない。

本書では相続問題についても取り扱う。「相続は争続」と言われるのも事実のようだ。本書では、「スムーズな相続のために親が生きているうちに確認しておくべきこと」のチェックシートから始まるのだが、それを見て分かるのは、争続は決して税金だけの問題ではないことだ。相続対策=税金対策のイメージが強いが、それ以上に残された土地や家屋などの財産を処分するための対策が重要になる。近年、相続対策は生前から進めておくことが重要とされてきているが、親の家を片付ける上での土地や建物の処分についても共通のことが言えるという。可能であれば、親子が生前に話し合う機会を持つのがベストかもしれない。

今日的な問題である親の家の片付け処分は、今はまだ見えていないだけ。実感に乏しくても、すでに「今そこにある問題」なのだ。

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