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介護の本書評「review-kaigo」

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第203回 思い通りの死に方

人生の最終局面をどう生きるかが大切!

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思い通りの死に方 (幻冬舎新書)
中村仁一 久坂部羊

内容

あなたは何歳まで生きたいだろうか。大往生は誰もが夢見ること。90歳を過ぎても元気なスーパー老人でありたいだろうか。だが、現実は堂だろうか。現役医師二人が誰も本当のことを言わない高齢者の生き方、老い方、逝き方を赤裸々に語り合う。医者にがんが多いのはなぜか。そして大往生は可能なのか。いずれは誰もが直面する生死の真実が紹介されている。

書評

筆者によると、本のタイトルは「思い通りの死に方」だが、実際に思い通りの死に方をするのは非常に困難、いや思い通りにはならないものだと考えた方が良いという。死ぬ時期と死に方は思い通りにはならない、それが永遠の真理なのかもしれない。しかし、死に方は思い通りにならなくても、死ぬまでの生き方は思い通りになる、と筆者。死ぬまでの生き方が充実していれば、死に方がどうなっても満足できるのではないか、と。

よく死の受容と言われるが、現代人はその前に老いの受容ができていない。老いの受容ができないのに、死の受容など論外なのだ。だが、老いても役立たずというわけではない。世の中は持ちつ持たれつで成り立っているのだ。多様な人々が生活することで成り立っているものがあるのだ。

医療は本来利用するものであり、「主権在患」だと筆者。だが、主権在患をい発揮するには生き方をきちんと待たねばならないという。医療の最善と患者の最善が必ずしも同じではない。患者の希望や状況を鑑みて最善を考慮する必要がある。だが、医療側は個別事情を考慮することなく一方的に医療側の最善を押しつけてきた。だからこそ、患者は「自分にとっての最善はこれ」と言えば良いのだ。

嫌なこと、不吉なことも語られているが、聞こえの良い嘘よりは100万倍良い。良薬は口に苦し。高齢者医療に携わる2人の専門家が赤裸々に語る「本当のこと」だからこそ、おおいに参考になると言える。

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