介護の本書評「review-kaigo」 第201回〜

第202回「ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!」

大認知症時代は、人ごとじゃない!

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ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!
長尾 和宏 丸尾 多重子 ヨシタケシンスケ


内容


なぜ歩いて施設に入所したのに、たった数カ月で寝たきりになるのか? それは施設選びを間違っているから。入所待ちの行列が長い特別養護老人ホームから、予定よりも早く声が掛かり、喜んで入所したら……。悲惨な介護の現場を見てきた筆者たちが、「当たり前の介護の大間違い」を指摘する。

書評

筆者は本書を通じてさまざまな「常識」に対する疑問を投げかけている。「ボケ」が「認知症」に変わったのはいつからか?だが、そもそも「ボケ」と「認知症」は同じなのか、認知症の方が脳の難病のような印象を与えていないか?などなど。「ボケ」なら家にいても良い感じだが、「認知症」となると、病院に入れないといけないイメージがしないか?言葉の力は大きい、と筆者は語る。

将来的な認知症患者は、がんと同程度まで増加すると予想されている。現在がんは、専門病院の充実により、逆に専門的な病院の門を叩くことが普通になり、特別な病気になってしまった。だが、人間の最期に必要なものは、抗がん剤治療でも放射線治療でもなく、人間を診る、あるいは生活を支える「緩和ケア」だ。皮肉なことにがん対策が充実したことで、本来は一番大切なものが追いやられてしまった、と筆者は嘆く。がんを病を治療する病院に押し込めたことで、生活や地域という視点が忘れ去られてしまったのかもしれない。

そして筆者が危惧するのは、認知症治療においても同じ過ちを犯すのではないかということ。人の死と生の話。そう「歴史は二度繰り返す」かもしれないのだ。筆者の一人である長尾氏は、介護者の希望を最大限に汲むべく、訪問診療と往診を行い、訪問看護ステーションを持っている。だからこそ、今の認知症を取り巻く環境を憂いているのかもしれない。

本書は、そんな医師である長尾氏と、NPOを運営する丸尾氏が、二人が言う「漫才」をしながらできあがった本だ。認知症医療と介護の最新事情が詳しく書かれているのはもちろん、これを手に取った人やその家族が、穏やかな老後を過ごすためのアドバイスがしたためられている、それも爆笑確実な文章とともに。団塊の世代が高齢者となり、医療や介護の供給が追いつかなくなり超高齢化社会、大認知症時代が到来する「2025年問題」に向けて、知っておくべきことが書かれている。

第203回「思い通りの死に方」については、こちらへ。

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