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介護の本書評「review-kaigo」

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第192回 納得の老後

ひとり暮らしでもひとりぼっちにならない老後を。

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納得の老後 日欧在宅ケア探訪 (岩波新書)
村上 紀美子

内容

団塊世代の多くが75歳以上になる2015年。高齢でも自宅で医療や介護を利用しながら一人で暮らしたいという思いがあるとき、社会の準備はなされているだろうか。筆者は介護先進国とされる欧州各国を巡るとともに、日本の先進医療や介護実践現場に足を運び、納得の老後を考える。

書評

老いが自らの身にやってきて、いつか最後の時を迎えることは誰のみにも100%起こること。しかしながら、「自分の身にそうした時が来ることは考えたくない。でも何となく不安」というのが本音ではないだろうか。

でも考えなければならないと専門家は言う。だが、何を準備すればいいのか?老後にはいくら掛かるのか、というお金の準備だけでは足りない。お金をどこでどう使うか、自分はどう暮らしたいのか、現実と理想の折り合いを付けながら自分の近未来のあるべき姿を探して見つけておくことも必要だという。そうした姿を模索し、筆者は日本と同様に介護保険と医療保険があるドイツとオランダ、日本とは異なり税によって介護の公的費用を賄うデンマークとイギリスの在宅ケアを探訪している。

本書では在宅ケアをテーマにしているが、この場合の「在宅」は必ずしも自宅ではない。その人が選んだ場所を意味している。強いられた自宅ではなく、自宅が難しくなれば自宅外で暮らせるような柔軟な対応が必要だという。

本書は、ひとり暮らしが急増する日本で在宅ケアの新たな姿をイメージし、利用する人と提供する人の関係も含め、「いつか自分が在宅ケア関わる時はこんなふうにしたい、されたい」と役立つことを筆者は願っている。さらに在宅ケアを提供する人には、本書がサービス提供を支える仕組みや質を向上していくための方法や専門家を育成するヒントになるかもしれない。

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