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介護の本書評「review-kaigo」

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第182回 高齢者の心理がわかるQ&A ほんとうの高齢者を知るための、66の疑問

この一冊で高齢者の気持ちがわかる。

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高齢者の心理がわかるQ&A―ほんとうの高齢者を知るための、66の疑問
井上 勝也

内容

「お年寄りの気持ちが分からない!」「認知症でもないのに、なぜそんな行動をするのか!」など、高齢者の心や行動に対する疑問が施設、家族、病院、家庭など至るところで見られる。だが、その答えを探そうと真摯に向き合う場面は非常に少ない。本書はそんな高齢者理解の近似値を得るための契機となる一冊。

書評

お年寄りに限らず、人の心や行動の由来を正しく知ったり理解することは大変難しいことだ。子ども、友人、夫婦、後尾と、上司、部下……どれをとっても相手の気持ちが本当にわかり、真に理解できる心を持ち合わせているだろうか。

しかし、これらの心は、当然のことながら完全にはわからないとしても、「近似値的」に理解することはできるだろう。おそらくこういった気持ちなんだろう、きっとこう振る舞うに違いないだろう、といったある程度の「予測」がつくものだ。おそらくそれは、理解する側の感受性や認知能力と行った個人的な完成に加えて、すでにそういった事態を経験していたり、接触頻度が高かったりすることが大きく作用しているからだと思われる。

では、高齢者の場合はどうだろうか。高齢者の世界は高齢者にしかわからない。さらにエイジズムという言葉が示すように、高齢者は一般的により若い人たちから遠ざけられ、接触頻度が低いのが普通だ。そのような未経験、低接触頻度だと、高齢者の気持ちは近似値的にすら理解できず、結果的に「高齢者の気持ちがわからない!」という結論に至ってしまうのだ。

本書では、高齢者への無理解から信じられてきた「迷信」の打破を目指している。迷信を打破し、高齢者への正しい理解を深めようとするのが本書の意図でもある。本書は高齢者の気持ちの近似値を得るサポートとしての役割を十分に果たす一冊となるだろう。

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