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介護の本書評「review-kaigo」

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第166回 介護ヘルパーは見た

お年寄りたちの禁断の世界がここに。

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介護ヘルパーは見た (幻冬舎新書)
藤原 るか

内容

親の介護は決して他人事ではない。75歳以上の4人に1人は、ひとり暮らしが困難になるという統計データもある。在宅の介護かホームに入るか。では、実際に在宅の介護現場ではどんなことが起こっているのか。20年以上介護の現場で働く筆者が、介護する人、介護される人が直面する現実をリアルに伝えている。

書評

筆者は20年以上、介護の現場で働いているが、最近になって「介護」がどういうものか、世の中にはあまり知られていないと実感する瞬間が増えてきたという。核家族が当たり前になり、祖父母と暮らしたことがない人が増え、人が年を取って暮らしていくとはどういうことなのか、それをどう支えるのか、分からないという人が増えているように感じるというのだ。

しかしこれは重大な問題という。なぜなら親の介護は遅かれ早かれ、すべての人の身に起こることだからだ。「まだまだ先の話」なんて思っていると、その瞬間はすぐにやってくる。備えあれば憂い無し、なのだ。「介護」というと大変なイメージがあるが、そんなことはない、と筆者。個性豊かなお年寄りと接することは楽しく、時におかしくて笑ってしまうなど、生き抜こうとする姿が大変愛おしく感じるという。

本書では、そんな筆者の経験をたくさんの事例を通して紹介している。例えば、一人になると寂しくなってウンチをこねくり回すおじいちゃん。ありったけの宝石を身につけてお風呂に入るおばあちゃん。70歳代のおばあちゃんを求める、愛欲の枯れない80歳代のおじいちゃんなど、想像を絶する世界がそこにはある。

時には爆笑、時にはしんみり。でも、ここから介護の本当の姿が見えてくる。

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