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介護の本書評「review-kaigo」

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第148回 家族が高齢者虐待をしてしまうとき

何気ないひと言が苦しみや殺伐とした心を癒やす

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家族が高齢者虐待をしてしまうとき
加藤 伸司 矢吹 知之

内容

現在、在宅における高齢者虐待は、年々増加の一途を辿っている。「疲れていませんか」「少しお話をしませんか」「無理をしないでください」など、何気ないひと言が介護者の苦しみや殺伐とした心に癒やしを与える。本書は、認知症患者や介護者を支援する専門職が持つべき大切な視点を示している。

書評

最も安心できるはずの自宅で、「子が親を」「妻が夫を」「夫が妻を」虐待するという事態が頻発している。一生懸命に介護をしているのに、その果てに死を選んでしまうことすらある。家族による高齢者虐待はあくまで「意図せざる結果」なのだ。こうした「意図せざる結果」を招かないために、家族はどのような場面で虐待をしてしまいそうになったのかという心理状態を明らかにする必要がある。

本書は、高齢者虐待の発生を未然に防止するための方法を理解することを目的に作られている。本書では、在宅介護を行う人々に話を聞きながら、「虐待しそうに感じる出来事」をまとめている。また、介護施設担当者などから「言われて嬉しかったこと」もまとめている。これにより、支援機関や介護施設の職員は、在宅介護をする家族をどのように考え、どのように支えるかを明らかにし、何を伝えるべきかを明らかにすることを目指している。

本書は、単に患者にサービスを行うだけではなく、「何かいつもと異なる点はなかったか」「お風呂に入る時キズやアザはなかったか」「着ているものが汚れていないか」「怒鳴り声は聞こえなかったか」など、介護支援者が持つべきさまざまな視点を示してくれている。

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