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介護の本書評「review-kaigo」

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第138回 変わる家族と介護

「無縁社会」時代の介護を考える。

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変わる家族と介護 (講談社現代新書)
春日 キスヨ

内容

家族問題をテーマとする臨床社会学者が執筆する本書。要介護者をめぐる複雑で高い負担を抱える家族の状況が、なぜ現代日本で生まれたのか、日常生活のエピソードや、当事者の語りを読み解くような形で考察し、その理由を探る。

書評

本書では、さまざまな問題を抱えた家族との現場での出会い、そこでの出来事や当事者の語りを通して、さらには筆者が日常生活で見聞きした事実を読み解くスタイルで現在日本の危機について述べられている。

これまで、日本社会は最終的に個人を守るセーフティネットの役割を家族に担わせてきた。だが筆者によれば、最近10年近くは、支援現場で目にしたのは、もう家族がセーフティネットを担うのは限界に達しているということ。家族が重大な生活困難に陥るとどこからも救われることなく、命園も尾が脅かされそうになっていたという。

現在の日本の要介護者を巡る状況を考えると、問題は単なる少子化や高齢者夫婦の増大では説明がつかないという。息子をはじめとした男性による介護や遠距離介護などの増加はもちろんのこと、親世代と子世代の経済力の逆転なども存在する。そのため、現代社会において、要介護者を守るセーフティーネットとしての役割を家族が担うことは、非常に困難な状況である。そして家族内の葛藤や家族崩壊、ネグレクトや暴力といった高齢者への虐待問題など、さまざまな家族問題として生じている、と筆者は語っている。

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