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介護の本書評「review-kaigo」

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第122回 磯野家の介護

もし波平がまだらボケになったら……?

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磯野家の介護
澤田信子

内容

高度経済成長期を舞台に描かれたマンガこそ、国民的マンガである『サザエさん』だ。テレビでしか見たことがない人にはピンと来ないが、オリジナルマンガには、そういった時代背景が実にイキイキと描かれている。本書は、日本人のアイコンとも言える『サザエさん』の家族設定を借りて、大黒柱の波平がまだらボケになった場合を想定して、介護の知恵が分かりやすく紹介されている。

書評

テレビアニメの原作とも言える、マンガの『サザエさん』には高度経済成長期がイキイキと描かれている。連載開始から2/3世紀が経ち、今の日本を見渡すと全く別の世界が広がっている。それは、世界のどの国も経験したことがない高齢大国であることだ。しかも、『サザエさん』連載時は主に長男夫婦が親と住んで、必要になれば長男お嫁が面倒を見るというのが暗黙の了解だったが、現在は核家族化が進み、日本人の家族様式、生活様式そのものが変わりつつある。つまり、お年寄りが安心して生活するには、家族ではなく、社会が努力する次代になったのだ。

そんな超高齢化社会に向けて日本人はどのような準備をすればいいのだろうか。その答えは国民が介護を自分の問題として捉えることだと筆者は語る。お年寄りとどう接すればいいのか分からない人も、自分がどう介護されたいかは分かるはずだ、と。本書はそんな自分目線で介護を捉えるために、磯野家の設定を借りたに過ぎない。磯野家の家族とともに、日常介護における介護の知恵を学んでみてはいかがだろうか。

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