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介護の本書評「review-kaigo」

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第97回 介護の現場がこじれる理由

日本人と介護保険制度のミスマッチが介護現場を混乱させる!

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介護の現場がこじれる理由―フリーのケアマネが見た在宅介護の10年
本間 清文

内容

日本人は言語的コミュニケーションよりも“あうんの呼吸”や“空気を読む”といった非言語的コミュニケーションで人間関係を構築しようとする。それが一生懸命に介護に取り組む老人、家族、介護従事者の関係を難しくする。本書では“介護の現場がこじれる理由”がどこにあるのか、筆者の体験をもとに探っている。

書評

今の日本では、介護保険制度は十分に機能しないままに10年という時が過ぎたという筆者。孤独死も増え、満足に介護保険を活用できない認知症の高齢者は増えるばかりだ。老人をとりまく現実は、かつて我々が“長寿”という言葉に抱いていたイメージとは似ても似つかない、目を背けたくなるような孤独な人間の悲しい末路と言えるかもしれない。

今後はさらに少子高齢化社会が進行するが、ここらで一度立ち止まって過去を振り返って見る必要があるのではないかと筆者は語る。なぜなら、今の日本が抱える介護の問題は、データ収集をはじめとした机上の論理から世界を導き出すことは非常に難しいという。だから、今こそ一人ひとりの生き様や考え方を尊重し、その人たちが充実した人生をまっとうできる社会にしようとする動きこそが、今求められる行動なのではないだろうか。

本書では、筆者が経験してきた介護の現場を取り上げながら“介護の現場がこじれる理由”がどこにあるのかを浮き彫りにしようとしている。

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