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介護の本書評「review-kaigo」

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第72回 介護うつ

心に響く、清水由貴子のラストメッセージ。

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介護うつ
清水 良子

内容

タレントの清水由貴子さんが、母親の介護からくる「介護うつ」により自ら命を絶ったというニュースがお茶の間に流れてしばらくの時間が経つ。死の真相は誰にもわからない。だが、最も近くにいた実妹が、要介護5の母親や実姉・清水由貴子と分かち合った数々の思い出や未送信の遺言メールとともに、その死について語っている。

書評

ニュースでは、要介護5の母親の介護に疲れた末の「壮絶介護自殺」のような書かれ方をしていた。だが、実妹から見れば自殺当日や最後にあった瞬間でさえ、そんな空気は全く感じなかったという。ただ、少し元気がないな……という感覚はあったようだが。

日常の清水由貴子さんは芸能界を引退するまで、芸能活動と介護を見事に両立していたという。仕事がきっかけで始めた絵手紙も掲載されているのだが、それも色鮮やかで素晴らしいセンスを感じる。母親が大好きで介護も決して苦痛に感じるのではなく、笑顔いっぱいで対応していたという。

自殺の際、母親もその近くにいた事実をご存じの方も多いだろう。もしかしたら彼女は母親と一緒に逝くことを考えていたのかもしれない。だが、硫化水素に満たされたビニール袋を被ったのは彼女一人だった……母親と一緒に逝くことは、直前に思いとどまったのかもしれない。最期の場所となった富士山の麓にある父親のお墓。晴れて富士山が見えていれば姉も思いとどまったかもしれない……という言葉が少し理解できる気がした。

介護の現場は、介護される人と介護者の二者間で成り立ってはいけない、と筆者。介護者を見守る、もうひとつの目が必要なのだと……。

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