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介護の本書評「review-kaigo」

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第67回 高齢者は暮らしていけない

ただ生きていくことが困難になる時代が来る!

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高齢者は暮らしていけない――現場からの報告
結城 康博 嘉山 隆司

内容

高度成長期を支えた人々が老後を迎えた現在、充実した老後を送っている人は案外少ない。少ない年金だけを頼りに、医療サービスや介護サービスの利用を控え、何とか生活している人も少なくないのだ。本書では高齢者の「格差」や「貧困」について考えながら、それを解決する処方箋が模索されている。

書評

現在の高齢者における「格差」「貧困」は、これから高齢化社会が深化する日本にとって大きな問題だ。「貧困」「格差」という言葉は、母子家庭や失業者、ニートにだけ当てはまるものではない。高齢者には最低限のセーフティネットが張られていると考えがちだが、実際には希望的観測に過ぎないという。現在の日本社会においては、老後の生活にかなりの「格差」が生じているという。

この問題は、これからの日本にとって必ず是正しなくてはならない。そのためには、今から取り組み、その方向性を導き出しておかないと手遅れになるという。最終的には、国民一人ひとりがどうしていきたいか、どんな国にしていきたいかという『想い』が問われると筆者は語る。

本書では、現在も現場で高齢者と向き合いながら仕事をしているメンバーが、高齢者の生活実態に照らし合わせながら、「格差」や「貧困」について書き綴っている。人生の最後を迎えるにあたり、誰もが平等だったと思える国になるには、日本はもう少しの努力が必要なのかもしれない。

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